日本共産党党からの回答
最終更新日:2003.11.08

クルマ社会を問い直す会 御中
2003年11月3日
日本共産党

「クルマ依存社会の見直しに関する政策質問書」に対する回答


1)交通安全対策について

 2002年の交通事故死者は8326人、死傷者は117万6181人と、大変深刻で心痛む事態が続いています。政府のような、あいまいな姿勢と目標ではなく、交通事故の死傷者を大きく減らしていく長期目標と、そのための段階ごとの計画をきちんと持つことが重要です。またモータリゼーション政策の見直しなど、クルマの総量を抑えることも必要です。日本共産党はかねてから、人命尊重がなにものにも優先されるべきであるとの立場にたった交通安全対策と交通安全施設整備・充実、二重三重の安全対策を求めています。



2)歩行者の安全対策について

 近年、交通事故被害で高齢者の割合が極めて高くなっており、高齢者をはじめ、子どもたちや障害者などに安全で安心できる道路交通社会をつくることが喫緊に課題となっています。歩行中・自転車乗車中の事故を減らすためには、人と車の分離を徹底することが重要です。そのために、住宅地や商店街への車両進入規制の拡大、スピードの抑制、歩道の拡大、狭い道路の一方通行化など、歩行者優先の考え方で整備することです。また障害者が使いやすい歩道づくり、車イスで歩ける街づくりに力をいれる必要があります。

 政府自身、交通事故死者を半減させた教訓として、「安全施設の整備の量的拡大と投資効果の大きさをあげることができる」(1987年度交通安全白書)とのべています。国や自治体の道路投資の重点を、大型公共事業の高速道路などから交通安全施設の整備に転換することこそ求められています。



3)交差点の安全対策について

 日本共産党としては、交差点の安全対策には次のことが必要だと考えています。

・歩行者が安心して渡れる交差点にするため、スクランブル方式や、歩行者と右・左折車の分断など、交差店内での歩行者と車の完全分離。
・お年寄り、こども、障害者が青信号なら安心して横断できる特別の対策(信号の時間その他を含む)。
・立体交差店の整備や交差点の構造の改良。
・関係交通安全施設の整備。
・住民の要求に誠実に答えるための体制、組織の整備。



4)公共交通の再生について

 わが国では、1960年代以降の政府のモータリゼーション政策の展開のなかで保有自動車台数が著しく増加する一方で、鉄道やバスなどの生活路線としての公共交通機関が次々と切り捨てられてきました。また、保有自動車台数の増加と比例して交通事故も増加しています。
 日本共産党は、早くから政府のモータリゼーション野放し政策を批判し、公共交通機関の整備をすすめ、車の総量を抑えることなしに交通事故の減少はありえないと主張してきました。
 さらに車の増加は、交通事故にとどまらず、環境問題を引き起こし、お年寄りや病人、子どもたちなど交通弱者の移動の自由を大きく阻害しています。この意味からも、鉄道、電車、バスなど公共交通機関の役割をきちんと認識し、その利便性を高め、安くて安心な交通機関として発展させます。



5)大気汚染被害について

 西淀川、東京など各地の大気汚染訴訟判決では、健康被害と自動車排ガスとの因果関係を認めました。判決は、健康被害が予見できたにもかかわらず、自動車にまでディーゼル化をすすめたことなど、自動車メーカーに社会責任上問題があったことも指摘しています。現在も被害者は増え続けており、判決をふまえ、新たな措置をとることもふくめて、すべての被害者の迅速な救済を国・自治体にもとめます。メーカーに必要な情報公開を義務づけ、環境・製品アセスメントを強化するよう要求します。使用中のディーゼル車の汚染物質除去装置をメーカーが開発して社会的責任をはたすよう要求します。

 ディーゼル車の排ガス規制がはじまりましたが、都心地域や住宅地での幹線道路の建設や、郊外から自動車が流入する幹線道路の建設が進められており、大気汚染の解決のためには、まちづくりの面からも自動車交通量の規制が不可欠です。自動車交通量の規制のために、ノー・カーデイの実施、パーク・アンド・ライド方式の導入、路面電車の活用・復活など、条件にあった多様な方法を追及します。



6)道路建設計画について

 日本共産党は、年間50兆円にものぼる巨額の公共事業の大盤振る舞いを批判してきました。なかでも道路建設はその典型の一つです。道路建設は、公共事業に占めるシェアが大きいだけでなく、揮発油税、自動車重量税など6兆円にのぼる道路特定財源など、公共事業を自動的に膨張させる「仕組み」があります。ムダと環境破壊の大型公共事業をやめさせると同時に、特定財源制度を廃止して一般財源化し、年金など社会保障や環境対策、暮らしに活用します。公共事業は、福祉・暮らし型を中心に切りかえ、道路建設は生活道路中心に必要な予算を配分するように改革し、街づくりや環境などとの両立を基本にすべきです。

 自動車の総量規制は、道路建設計画はもとより、大気汚染対策でも交通安全対策でも公共交通の再生のうえでも大事なことです。



以上




クルマ社会を問い直す会