アクセルとブレーキの踏み違え事故について

トヨタ自動車株式会社とのやりとり

トヨタへのメール

私はクルマ社会を問い直す会の会員で、道路交通の安全について勉強しています。
アクセルとブレーキの踏み違え事故が多発しています。ずっと以前からそのような事故が後を絶ちませんが、対策についてうかがいたいと思います。

(1)アクセルとブレーキのペダルがそれぞれあり、隣り合っていること。それをブラインド状態で足で踏み分けること。このような方式が事故の主要因であると思われますが、このような方式自体が欠陥であるという認識はお持ちでしょうか。

(2)私の素人考えですが、少なくともアクセルは右足、ブレーキは左足と分担させることは容易と思われますが、そうしない理由は何ですか。

(3)私は根本的には操作方法を改める必要があると考えますが、貴社はそのような認識をお持ちでしょうか。既に対策をお持ちであればご紹介ください。


トヨタからの回答

この度は、道路交通安全に関するご見識の高さから、私共にお問い合わせを賜り、誠にありがとうございます。
これも一重にトヨタに対するご厚情の賜と重ねてお礼申し上げます。
3項目のお問い合わせを頂きましたが、回答内容に共通する部分もございますので、まとめてご回答を申し上げますことをご了承賜りたいと存じます。

まず、ご承知頂いていると存じますが、私共は車両の「取扱書」に「ブレーキペダルはアクセルペダルと同じ右足で操作してください。」と記載し、お願いしております。
ご指摘頂いておりますように、アクセルペダルは右足、ブレーキペダルは左で操作されますと、とっさの場合、思わず両方同時に踏むことも考えられ、その場合は車両が思わぬ動きをとる恐れがあります。
弊社といたしましては、ご指摘頂きました点は、運転者がより確実な操作をする、あるいは操作の状況を判りやすくする上で大変重要なことと考えます。
私共は、お客様や社会の要請並びに最新技術の動向等も踏まえながら、お客様の安全・安心に関わる品質を何よりも優先し、より安全な製品づくりに邁進する所存です。
以上でございますが、今回の当方の回答がお役に立てば幸甚に存じます。
今後とも、トヨタをよろしくお願い申し上げます。

トヨタ自動車 お客様相談センター

2010年6月2日

トヨタへの再質問

アクセルとブレーキの踏み違え事故について

先日は私の質問にご回答ありがとうございました。しかし答えになっていない部分がありますので、再質問します。

(1)「…このような方式自体が欠陥であるという認識はお持ちでしょうか。」という質問に対して、「『取扱書』に書いている」というお答えは少々面食らいましたが、つまり「方式自体が欠陥であるという認識は無い」というお答えと解釈してよろしいですか。

(2)貴社製品の『取扱書』に現行方法の説明が記載されているのは当然でしょう。私がお聞きしたかったのは、『取扱書』の記載内容も承知しているし、その内容に逆らったことをするつもりもない運転者が踏み違え事故を起こすという例が度重なることにつき、問題は何処にあるのかということです。貴社のお答えは、『取扱書』どおりのことができなかった運転者が100%悪いという意味ですか?

(3)踏み違え事故に関して、貴社が『取扱書』云々をおっしゃるのであれば、『取扱書』には「アクセルとブレーキのペダルを右足で踏む場合には、どちらのペダルに足が乗っているかよく確認してから踏んでください。確認のできないうちは絶対に踏まないでください」と記載するべきです。


トヨタからの再回答

日頃は、トヨタ車に格別のご愛顧を賜り、厚くお礼申し上げます。
私どものメールの回答が大変遅くなりまして、誠に申し訳ございません。まずもって、お詫び申し上げます。

Q1:右足の踏み交え方式自体が欠陥であるという認識は無いか?
A2:欠陥という認識はありませんが、非常に重要な問題と思っています。
まず、右足の踏み交え方式になった経緯をお伝えします。
人間工学で「いざ、危ない!」と人が認識した瞬間に利き足がとっさに出ること。
また走行中はアクセルに置いている足を意志を持ってブレーキ側に踏み換えるため同じ位置を踏むことなく、左ブレーキ右アクセル操作より間違いが少ないと一般的に言われています。
更に、市場のお車はMT(マニュアル車)もあり、クラッチは左足で操作をする為、ブレーキとアクセルは右足の踏み交え方式になっています。

Q2:運転者が踏み違え事故を起こすという例が度重なることにつき、問題は何処にあるのか?
A2:先回メールでご紹介しましたBOSシステムの導入を考えています。
ただし、発進時の踏み間違い事故の対策には、背反事項が多いため極めて対策が難しい状況になっています。
発進時の出力制限を付けた場合
・お客様の期待する必要な発進力が得られない。
・登坂能力が無く、登れない坂が出る、など。

Q3:踏み違え事故に関して、『取扱書』には「アクセルとブレーキのペダルを右足で踏む場合には、どちらのペダルに足が乗っているかよく確認してから踏んでください。確認のできないうちは絶対に踏まないでください」と記載するべきです。
A3:そのようなご指摘があったことは、関係各部に伝えます。

今後とも、トヨタをよろしくお願い申し上げます。

トヨタ自動車 お客様相談センター

2010年6月18日


「クルマ社会を問い直す会」